2024年の暑くて長かった夏がようやく終わりつつあります。秋は学会シーズンでもあり、各地で多くの学会の開催が予定されています。コロナ禍をきっかけに学会もデジタル化が進み、現地に行かず自宅でweb参加することも選択できるハイブリッド形式が増えました。地域で開催される研究会もzoomなどのweb会議ツールを用いることが多くなっています。デジタル化によって非常に便利になっている一方で、これらのサービスは海外の企業が提供している技術を活用しているため、日本のデジタル関連の赤字が年々拡大していることが問題になりつつあります。
バブル崩壊以降、コスト削減のために様々な産業で工場が海外に移転されましたが、医療も例外ではありません。現在、私たちが日々使っている薬剤や医療資材の多くは国内で製造されていません。日本の製薬会社のものであっても、多くは海外工場で製造されていますし、国内製造の薬も原薬は海外から購入しています。さらに新薬の多くは海外企業のものです。現在、関節リウマチ治療で多くの方が用いている生物学的製剤やJAK阻害薬のほとんどが海外製です。また、保険診療で使われる薬剤の値段は国が定めており、企業が変更することができません。原材料の仕入れ価格、人件費、工場の稼働にかかる費用、運搬費用など全てのコストが大幅に上がっているにも関わらず、販売価格に転嫁することができませんので、製造を中止する薬剤が増えています。薬剤が安定的に供給できない事態はリウマチ治療に限らず、全ての分野において生じていることです。
次々に良い薬剤が開発され、完結したように感じるリウマチ治療ですが、海外企業への多額の支払いによって国の赤字を助長することや有事の際に薬が手に入らない可能性があることなど、これまでは考えていなかった問題が新たに出てきています。今後、JAK阻害薬の後発品など、日本国内で製造できる薬剤が増えることに期待したいと思います。
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お知らせ2024.09.19