昨日、NHKの「ためしてガッテン」で関節リウマチが取り上げられていました。同番組内で関節リウマチの話をするのは14年ぶりだったそうです。今回は東京女子医大の田中榮一先生がお話され、最近の知見だけでなく、ご自身の患者としての体験も交えた良い内容だったと思います。
関節リウマチは、自分の体を誤って敵と認識し、自分で自分の体を攻撃してしまって起こる自己免疫疾患です。病気の進行が止まり、生活に支障のないレベルになることを寛解と言いますが、診断と治療の進歩によって、寛解に達する患者さんが増えています。2004年には8.4%しかいなかった寛解患者さんが、2020年には61.2%にまで増加しています。この20年で非常に効果の高い薬剤の開発が相次ぎ、その時々の最善の治療をまとめたガイドラインが作成され、更新されてきました。寛解率の上昇は、適切な時期に適切な治療を受けられる方が増えた結果だと思います。一方、残念ながら適切な時期に適切な治療を受けられていない患者さんが取り残されているという現実についても考えなければなりません。
関節リウマチでは、骨の破壊が始まる前に治療を始めることが重要です。手指の痛みから始まることが多いため、肩や膝などが初発関節であった場合に正しく診断されずに適切なタイミングで治療を始められない方がいます。また、専門医ではない場合には、最新のガイドラインに沿った適切な治療が行われていないことがあります。なかなか原因の分からない関節痛が続く場合、関節リウマチと診断されて治療を受けているにも関わらず改善しない場合には、専門医を受診されることをお勧めします。
番組の中で、田中榮一先生が関節リウマチに対して、エコー検査は早期から有用であることをお話されていました。しかし、自治体によって保険診療で認められない場合もあり、普及には時間がかかるのではないかと思います。現状、福岡県では認められないため、当院では導入できておりません。エコー検査は侵襲なく簡単にできますので、私も一般的に行えるようになることを期待しています。
関節リウマチの治療は、現在も進歩を続けています。新しい薬剤の開発は続いており、当院でも新たな治験が始まっています。東京女子医大膠原病リウマチ内科とはORIGAMI Studyという共同研究をしています。今後も最新の情報を提供して参ります。