世間では少子化問題が話題になっていますが、当院の患者さんは出産ラッシュが続いています。無事に出産した報告を受け、スタッフ一同、喜びに包まれています。
一昔前は関節リウマチ患者の妊娠・出産は難しいと考えられていましたが、現在は、事前に疾患活動性をしっかりとコントロールし、胎児に影響の少ない薬剤を選択することで、関節リウマチ患者さんも妊娠・出産を諦める必要がなくなりました。
当院では、治療開始時点で挙児の希望を確認しています。お子さんが欲しいと考えている患者さんには、胎児に影響の少ない「妊娠しても安全な薬剤」を選択します。しかし、病状によっては、妊娠は少し待って頂くこともあります。まずはリウマチの疾患活動性をしっかりと抑えることが重要ですので、治療初期には「妊娠しない方が良い薬」「妊娠中には使えない薬」も併用する場合があるからです。病状が安定すれば、妊娠に影響する薬、胎児に影響のある薬は漸減中止し、安全性の高い薬剤のみを残します。悪影響の可能性がある薬剤が体内からなくなるのを待って、妊娠を許可しています。
妊娠すると、自然に関節リウマチの疾患活動性が下がりますので、妊娠後はリウマチの症状に苦しむ方はほとんどいません。多くの方はdrug free(治療薬を全く使わない状態)でも、関節症状が出ることなく、出産まで快適な生活になります。出産数カ月後頃から関節リウマチ症状が再燃する方が多いです。関節リウマチの治療薬は母乳に移行しますので、リウマチの治療薬を使えるように授乳を中止して頂いて、関節リウマチ治療を開始します。概ね出産3か月頃から関節リウマチ治療を再開していますが、治療再開時期は病状と授乳の状況に合わせて決めています。
関節リウマチだからと妊娠・出産を諦める時代ではなくなっています。今後も多くの患者さんが安心して妊娠・出産でいるようにサポートしていきたいと思います。
お知らせ
院長ヴォイス2023.03.02