お知らせ

Difficult-to-treat RA(D2T-RA)について

 近年、Difficult-to-treat RA(D2T-RA)という概念が提唱されています。国内のガイドラインではまだD2T-RAの定義は定められておらず、予後不良な関節リウマチという認識になっています。
 D2T-RAは欧州リウマチ学会では、「①メトトレキサートなどのcsDMARD(従来型の抗リウマチ薬)を用いても治療目標を達成できず、2種類以上の作用機序の異なるbDMARD(生物学的製剤)やtsDMARD(標的型抗リウマチ薬)を用いても治療目標を達成できていない②活動性が高く、進行性である③関節リウマチの徴候や症状のマネジメントに問題があると専門医や患者に認識されているという3つの基準全てを満たす場合」と定義されています。D2T-RAの状態が予後不良であるのは確かですが、D2T-RAになるのを防ぐことは可能です。関節リウマチの予後不良因子は色々とありますが、早期に適切な治療介入ができた場合には予後不良因子を持っていてもD2T-RAには至らないことが明らかになってきています。
 以前からお話していますが、関節リウマチは最初の2年間が非常に重要です。発症早期には患者さん自身が目で見て分かるような関節の変形は起こっていませんが、病気は密かに進行しています。そして、明らかな変形が出てからでは病気の進行を抑えることは難しく、破壊された関節は元には戻りません。発症2年以内にしっかりとした治療を行えば、関節が破壊されることも進行することもありません。大きな治療効果が期待できるため最初の2年間を「window of opportunity(治療機会の窓)」と呼んでいます。予後不良因子を持っている方では特にこの時期に適切な治療が行われたかどうかが重要になってきます。
 しかし、csDMARD(従来型の抗リウマチ薬)で十分な治療効果が得られない方が全員bDMARD(生物学的製剤)やtsDMARD(標的型抗リウマチ薬)を使えるとは限りません。bDMARD(生物学的製剤)やtsDMARD(標的型抗リウマチ薬)は非常に高価な薬剤ですので、効果が得られることが分かっていても使えない方もいらっしゃいます。必要な方が必要な時期に使えるようにするには、より安価な後発品の発売や保険制度の改定などを待つしかありません。経済的な問題でbDMARD(生物学的製剤)やtsDMARD(標的型抗リウマチ薬)を導入できない場合、治験に入るということも選択肢の1つだと思います。当院では現在も複数の治験に参加しております。治験ごとに決められた条件があり、必ず入れるわけではありませんが、ご希望があればご相談ください。

〒814-0002
福岡県福岡市早良区西新1丁目10-27
西新プライムビルTEL (092)833-8030

診療時間
09:00~12:30 × × × ×
09:00~13:00 × × × × × ×
13:30~17:30 × × × ×

◆毎週 木曜 10時福岡大学からペインクリニック専門医が来て神経原性疼痛、線維筋痛症を診察いたします◆休診:日曜・祭日 ◆駐車場なし

地図を詳しくみる