世界中で新型コロナウイルスに対する研究が懸命に続けられており、全遺伝子情報の解析が進んでいます。遺伝子情報の研究が進んだ結果、変異株（変異種）を発見することが可能になりました。現在、世界各地で変異株が発見され、変異株の流行が拡大しています。国内でも12月25日に英国に滞在歴がある男女5名で変異株が検出されて以降、現在までに数種類の変異株感染者が確認されています。
　新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは増殖の過程で突然変異を起こし、変化していくものです。その変化の過程で、感染力が増したり、毒性が強くなったり、少しずつ性質が変わります。英国で大流行している変異株は、従来の新型コロナウイルスよりも感染力が強いために、爆発的に患者数が増加したと考えられています。
　東京大学の飯野教授は英国型変異株の感染力は従来型の1.7倍であり、100人の変異株感染者が流入した場合、半年後には新規感染者が1万３千人に急増すると試算されています。
重症化のリスクは従来型と変わらないこと、既に作成されているワクチンの効果は得られることが明らかにされていますが、感染者数が増えれば、重症者数も増えますので、医療体制が逼迫し、以前であれば救えた命を救えなくなる可能性が出てきます。また、感染者数が増えれば、変異株がさらに変異し、強い毒性を持つ可能性もあります。感染者数を増やさないことが非常に重要です。
　今後、日本国内での感染爆発を食い止めるためには、検疫を強化し、変異ウイルスを国内に入れないこと、人の動きを止め、伝播の機会を減らすことが重要です。昨日、緊急事態宣言が11都府県に拡大されました。これまでに感染した人の行動を調査した結果、マスクを外しての会話、特に飲食の場面で感染した方が大部分を占めています。不要不急の外出を控え、マスクと手指消毒を徹底することに加えて、同居の家族以外との飲食を控えることも必要と思われます。家庭内において感染を予防することは難しいため、家庭内にウイルスを持ち込まない生活を心がけましょう。