院長ヴォイス

「暑い日が続いておりますが、皆様、お元気にお過ごしでしょうか」

 新型コロナウイルスの感染拡大が続いておりますが、様々な学会や研究会はオンラインを活用して開催されています。学会や研究会は最新の研究結果や知見を学ぶ重要な機会ですので、実際にお会いすることはできなくても、オンラインで参加し、勉強を続けています。今日は、その中から、リンヴォック(ウパダシチニブ)についてお話します。
 

 リンヴォックはヤヌスキナーゼ(JAK)を阻害し、関節リウマチに関与する炎症性サイトカインが産生されるのを抑制する薬で、非常に有効性の高い薬剤です。リンヴォックが上市され、国内では5種類のJAK阻害薬を使用できることになりました。JAK阻害薬はどれも内服薬で、有効性が高いという点以外にも、注射や点滴といった侵襲なく投与可能、保管が簡便(冷蔵不要)、半減期が短いために内服を中止すれば速やかに体内から排出される(有害事象発生時に有利)というメリットがあります。一方で、薬価が非常に高いこと、感染症や深部静脈血栓などのリスクを伴うこと、長期的な安全性については未確立であることから、誰にでも使って良い薬剤ではありません。病状と経過からメリットの方が大きいと判断した場合に限って使用しなければなりません。
 

 5種類の薬剤がある中で、リンヴォックを選択するメリットとしては、腎機能障害がある方でも比較的安全に使用できることがあります。関節リウマチ患者さんの中には、腎機能障害のために、使用できる薬剤が制限される方がいます。リンヴォックは肝臓で代謝されるため、低用量で開始し、きめ細やかな経過観察をすれば、腎機能障害があっても使用可能です。ファーストラインの治療で十分な効果が得られず、次のステップの治療を選択したい場面で、腎機能障害があっても使える薬剤であることは非常に大きな意義があると思います。ただし、肝臓で代謝しますので、肝機能障害が強い方には使えませんし、使用中に肝機能が悪化していないかどうか定期的に確認することは必要です。また、他のJAK阻害薬と同様、一般的な感染症に加えて、帯状疱疹を発症するリスクが高まることには注意が必要です。開始前に帯状疱疹のワクチンを接種することも検討した方が良いかもしれません。
 

 当院ではリンヴォックは治験の段階から使用しておりましたので、新薬ではありますが、十分な治療経験を重ねております。ご不明な点がございましたら、外来でお尋ねください。

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