院長ヴォイス

腎機能障害がある方の食事と生活について

 急に寒くなり、血圧が高くなっている方も多いのではないでしょうか。血圧と腎臓は非常に密接な関係にあり、血圧が高いと腎臓が悪くなりますし、腎臓が悪いと血圧のコントロールが難しくなります。また、腎臓が悪いと、リウマチの治療薬を含めて、様々な薬が使えなかったり、投与量を減らしたりしなければならなくなります。今回は、腎臓の機能を今よりも悪くしないために必要なことをお話しようと思います。

 腎臓の働きは血液検査で調べることができます。腎臓が悪くなると、糸球体濾過量(GFR)が低下します。加齢とともに低下しますが、それ以上に低くなっている場合は、注意が必要です。慢性腎臓病の状態になってしまうと、治すことはできません。食事をはじめとする生活習慣や血圧に気を付けて予防し、進行を抑えることが重要になります。いつもの血液検査のeGFRという項目を確認して下さい。eGFRの基準値は90(mL/分/1.73m2)です。eGFRが90を下回っていても、60以上あればリウマチの治療で使う薬が制限されることはありません。60未満の場合は、慢性腎臓病のマニュアル等を参考に食事や生活を改めましょう。また、血圧が130/80mmHg未満になるように降圧薬の調整も必要かもしれません。

 慢性腎臓病では、生活習慣としては禁煙と適正体重の維持(BMI<25)が必要です。食事に関しては、①塩分摂取量を抑える(1日6g未満)②タンパク質摂取量を抑える(0.8g~1.0g/体重kg/日)③十分なエネルギーを確保する(25~35kcal×標準体重㎏/日)④高カリウム血症があれば、カリウム摂取量を抑える(生野菜や果物を控える)⑤水分をしっかりとる という点に気を付けなければなりません。

 減塩の前に、普段の食事でどのくらいの塩分を摂取しているかを知ることも重要です。日本人は平均的には1日10g程度の塩分を取っています。厳密に食塩量を計算して食事を考えるのは難しいでしょうから、少しずつ変えてはどうでしょうか。例えば、麺類の汁は残す(ラーメン1杯の塩分は6.4gですが、汁を残せば4g)、みそ汁は具沢山にして汁を減らす、素材のうまみを活かす(新鮮な食材を使う、だしを活用する)、レモン・すだち・お酢などを活用して醤油やソースを減らす、塩や醤油は表面に少しつける(少ない量でも塩分を感じることができる)、漬物や加工食品を控える(梅干し1個2.2g、ロースハム2枚1g)、野菜や果物を食べる等、少しずつ工夫することで減塩は可能です。

 タンパク質が多いと腎臓に負担がかかりますが、タンパク質を減らすと必要なエネルギーを摂取するために様々な工夫が必要になります。治療用の特殊食品(低タンパク質のご飯、パン、麺など)や栄養補助食品を活用することも必要です。厳密なタンパク質制限は専門的な知識がなければ難しいため、専門医や管理栄養士の指導が必要です。eGFRが45未満では、タンパク質を制限した方が良いですが、0.8g/体重㎏/日以上に制限する場合は、専門家の細かいサポートが必要です。

 今すぐできることは、減塩とこまめな水分摂取だと思います。マスクをつけていることで脱水に気づきにくくなっています。意識的に少しずつ水分を摂るようにしましょう。

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