院長ヴォイス

新型コロナウイルス感染症の5類移行について

 5月8日から、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に変わります。5類に変わることで、感染者の届出義務が変わり、全数把握から定点把握に変わります。正確な感染者数は分からず、死亡者数も2か月後にしか発表されません。地域でどの程度流行しているかを判断する材料が今よりも乏しくなります。また、感染者の外出を制限できなくなりますので、感染者が増加している地域では、外出先で感染者と接触するリスクが高くなります。
 文部科学省は4月12日に感染者の学校出席停止期間を「発症後5日間」に短縮することを発表しました。今後は、感染後に登校を再開した児童生徒の半数がウイルスを排出している状態になります。マスクも撤廃されている校内では、クラスター発生リスクが非常に高くなります。小児は成人と異なり、重症化を予防する抗ウイルス薬を使えず、重症化した場合に使える治療薬も極めて少ない状況です。頻度は高くありませんが、脳症を発症した場合には救命できたとしても重い障害が残ります。また、繰り返し感染することでlong-COVIDと呼ばれる長期的な後遺症のリスクが高まることも分かってきました。海外ではワクチン未接種で感染した小児や若年者のlong-COVIDが問題になり始めています。まだワクチン接種が完了していないお子さんは早めにワクチンを接種されることをお勧めします。
 5類に移行後は、医療提供体制も変わります。自治体や保健所の入院調整を行う義務、病床や宿泊施設を確保しておく義務はなくなります。保険点数や補助金が引き下げられますので、「赤字を補填しながら新型コロナウイルス感染者に対応し続けることは難しい」との判断から新型コロナ診療から撤退する医療機関が増えるかもしれません。発熱時に受診できる地域の医療機関を予め確認しておくことをお勧めします。当院は通院患者さんの殆どが疾患や治療の影響で免疫抑制状態にありますので、かかりつけの方であっても、新型コロナウイルス感染症の検査や治療はできません。各自で地域の発熱外来を受診して頂くことになります。また、ウイルスを排出している可能性がある期間(発症後2週間)は受診を控えて頂くようにお願いしております。抗リウマチ薬の休薬期間は外来でお伝えしていますが、分からない場合は電話でお問い合わせください。
 新型コロナウイルス感染が疑われる状態で発熱外来を受診される際は、必ず、お薬手帳と直近の血液検査結果を持参して下さい。高齢者や重症化リスクがある方では、抗ウイルス薬が処方されますが、併用薬や全身状態(腎機能、肝機能など)によっては、使用できない場合があります。例えば、最も重症化予防効果が高いとされているパキロビットはタクロリムスと併用できません。その他にも、それぞれの薬剤に併用禁忌薬がありますので、お薬手帳がないと処方できません。普段から他の医療機関を受診する際にはお薬手帳の持参をお願いしておりますが、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合は特に重要です。
 5類への移行は法律上の変更ですので、5類に移行してもウイルスの性質が都合よく変わるわけではありません。感染対策はこれまで通り変わりません。人混みはなるべく避け、感染リスクの高い場所ではマスクをし、手洗いと手指消毒を継続して下さい。5類移行後も当院にお越しの際は、これまで通りマスクを着用して頂きますよう、お願い申し上げます。

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