院長ヴォイス

サルコペニアについて

 日本の高齢化は年々進んでおり、2023年は65歳以上の高齢者が全人口の29%になりました。高齢者と言っても様々で、元気に暮らしている方がいる一方で、健康上の問題で日常生活が制限され、自立した生活が送れなくなっている方もいらっしゃいます。長い人生を楽しむためには自立した生活が送れる期間である「健康寿命」を延ばさなければなりません。
 健康に過ごせなくなる要因の一つに筋力の低下があります。加齢に伴う筋力量の減少と筋力低下をサルコペニアと言います。サルコペニアは基本的な日常生活動作である「歩く」「立ち上がる」などに支障が生じ、転倒しやすくなったり、介護が必要になったりします。筋肉は40歳頃から少しずつ減少しますが、筋力の低下をはっきりと自覚し始めるのは70歳を超えた頃からになります。健康に過ごす時間を延ばすためには、早い段階での対策が必要です。
 関節リウマチ患者さんでは、一般の方よりもサルコペニアを生じやすいことが知られています。サルコペニアの有病率は一般の方では10~15%程度であるのに対して、関節リウマチ患者さんでは25~44%と報告されています。関節リウマチでは炎症性サイトカインによって筋肉の合成が阻害されることが明らかとなっています。また、治療のために用いるステロイドも悪影響を及ぼします。関節リウマチ患者さんでは一般の方以上にサルコペニアへの対策が必要ですし、関節リウマチの疾患活動性をしっかりと抑えることが重要です。
 筋肉量を増やし、サルコペニアを防ぐためには、適度な運動を継続し、バランスの良い食事を心がけることが最良の方法になります。運動に関しては、関節リウマチの病状や体力に合わせて無理のない範囲で行って頂く必要がありますので、具体的な内容については外来で個別にお尋ねください。栄養に関しては、十分なタンパク質の摂取(1~1.2/Kg/日)やオメガ3脂肪酸の摂取を心がけてください。
 ただ長生きするのではなく、健康寿命を延ばして元気に過ごせることを目標に、日々の生活から少しずつ対策していきましょう。

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