院長ヴォイス

COVID-19(新型コロナウイルス)について、現時点で分かっていること

ご無沙汰しておりますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

中国から始まり、現在も世界中で猛威を振るっているCOVID-19(新型コロナウイルス)について、現時点で分かっていることを簡単にまとめたいと思います。

 

コロナウイルスの多くは、大きな問題になることのないウイルスで、感冒(いわゆる風邪)の原因の10~15%を占めています。しかし、時に、変異によって重大な感染症となることがあり、2002年には中国広東省からSARS、2012年にはアラビア半島からMERSが流行し、世界中で大きな問題となりました。

コロナウイルスは、1本鎖RNAウイルスで、インフルエンザウイルスの約1/3の大きさしかありません。インフルエンザよりも小さく、拡散しやすく、変異しやすいウイルスと言えます。

 

現在、多くの国で多数の犠牲者を出している新型コロナウイルスは、新しいウイルスですから、まだ分からないことがたくさんあります。感染に関して現時点で判明していることは、以下の3つです。

1.飛沫感染が主体であるが、接触感染にも注意が必要である。

2.感染者から放出されるウイルス量は、症状発現の2~3日前が最も多い。

3.潜伏期間は1~14日(平均5日)である。

何も症状が出ていない時期から、ウイルスを排出してしまうために、予防や管理が非常に困難なウイルスと言えます。そこで、当初は否定的だったWHOやCDCも、非感染者に対してもマスクの着用を推奨しています。接触感染も大きな問題で、ウイルスが付着した物に触れた後、その手で顔を触ることで感染してしまいます。予防のためにはこまめな手洗いと顔を触らないことが重要です。

 

新型コロナウイルスに特有の症状はなく、一般的な感冒(風邪)症状と見分けることは困難です。また、感染していても、自覚症状に乏しい場合が多いことも感染拡大のリスクとなっています。現状では、普通の感冒(風邪)症状の患者さんに対しても、新型コロナウイルス感染を疑って対処する必要があります。特に重症化するリスクがある高齢者や基礎疾患のある方は注意が必要です。致死率は高齢者が高いと言われていますが、一部の若い方では急激なサイトカインストームが生じて重症化することも分かっています。

発症初期には、血液検査では特徴的な異常所見が出ないことが多く、胸部レントゲンでも肺炎像がみられません。PCR検査も発症前から発症初期にかけては偽陰性(本当は感染しているのに陽性にならないこと)が多いため、診断が非常に難しいのが現状です。胸部CTでは発症初期から両肺に散在性のすりガラス陰影がみられることが多いようですが、CT検査は被爆などの問題もあり、スクリーニング検査として用いることはできません。現時点では、正確な患者数の把握は極めて難しいと言わざるを得ません。そのため、多くの患者に確定診断することよりも、重症化する患者をできるだけ早期に発見することが重要です。

 

重症化を示唆するポイントとして、日本感染症学会は以下の5点を挙げています。

1.下痢症状

2.リンパ球数1000/μL以下

3.CRP 5mg/dL以上

4.フェリチン430 ng/mL以上

5.CTでの浸潤影

上記のポイントに該当する場合には、早期に医療介入が必要です。ただし、特効薬はありませんので、有効であると予測される薬剤を試しながら、個人の免疫力を信じて、全身管理に努めることしかできません。

 

現在も世界中で様々な薬剤が試されていますが、まだ特効薬は見つかっていません。現時点で、有効である可能性が考えられている薬剤の中には、自己免疫疾患の治療薬が多く含まれています。特に、関節リウマチの治療薬の中では、アクテムラが重症患者にも効果が期待できるのではないかとされています。また、JAK阻害薬も現在、治験が行われています。もう少しすれば、治療薬候補の中から本当に効果的な薬剤が明らかになってくると思いますが、ワクチンの開発も時間がかかることを考えると、今しばらくは、新型コロナウイルスと上手く付き合っていくしかなさそうです。

全ての人が、自分が感染しないため、人に感染させないための行動を続けていく必要があります。いわゆる3密を避け、手指衛生や体調管理に努めて下さい。

 

新型コロナウイルスについては、日々、新しい知見が出て参ります。新しい知見に関しては、その都度、外来でご説明したいと思います。

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